逆・茹でガエル

その日も店内にはテレビが流れていた
不景気でお客さんが来なくなったというのは
最近のシェフの口癖であった

以前であれば開店から30分も経てば
テレビはジャズに切り替わっていた
今日はいまだに夜のニュースがのままである
数時間過ぎても客は我々だけだ
シェフはドラマが始まるのを心待ちにしている様子だ

何かがおかしい、ちょっと不愉快になってきた
そういえば席の電話を入れた時の対応は、間違い電話と疑った
少し早めに着くと伝えたが、開店3分前でもドアの鍵は閉まっていた
料理に話題を移しても、素っ気ない態度
これは不景気だけのせいではない
客が不在なのではなく、客への意識が不在なのである
これでまたひとり客を失うことになるのに

イソップに「茹でガエル」という逸話がある
蛙は暑いお湯に入れると、飛び上がって逃げるが
水から徐々に温めてゆくと、気がつかずに
最後には茹で上がってしまうという話しだ
平和ボケしていると、大事なことに気がつかなくなり
最後には手が付けられない状況になるという警鐘である

不景気、不景気と環境のせいにばかりしていると
顧客が来ない暇に慣れ、顧客の目線を失う
徐々に春が来ているのに、未だ冬眠からさめない
逆・茹でガエル?
になってしまうかもしれない

冬来たりなば、春遠からじ
大企業では回復し始めているところも多いという
明るい気持ちを持って前進し始めよう!


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幸せって

幸せってなんだろう

達成感は努力で勝ち取れる
充足感はお金で買えるかもしれない
幸せは達成感や充足感と似ているけれど
ひとりで感じられるのが達成感や充足感
ひとりでは感じられないのが幸福感

幸せは目に見えない
においもないし、さわることもできない
だから心で感じるしかない
そしてよーく意識していつもと違った視点で観察しないと
発見できない

いつもの人と、ちょっと違ったことをしているとき
例えば、旅先の高原を車で駆け抜けているとき
例えば、ちょっと高めのレストランでの家族団らん
例えば、一杯のかけそばかもしれない
そのいつもの人との平凡な日々
わいわいがやがやしているそのときこそが
幸せという状態であることに気づく
だから、再発見

人の心はすぐに醒めてしまう
映画や公演での感動の涙はハンカチを搾るまでには至らない
おいしいものの感激も次の何口かまで、舌が慣れてしまう
そして幸福感もほんの数分で薄れてゆく

けれども薄れてしまった平凡な日々のなかに
幸せは静かにひそんでいる
再度見つけられること待ちながら。。。


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人たらし

年が明けると、わずかな期待をもって
今年は生き方を変えるぞ
などと思いをめぐらせてしまう

人間は考える葦であり
弱く、わがままで、矛盾だらけである
自らを制して、
滅私奉公、品行方正に生きるのもいいように思える
逆に、自らを解き放って
天上天下、唯我独尊のように思いっきり生きるのもいい

自分を律して賢者のごとく振る舞いながら生きるか
「芸術は爆発だ」とエネルギッシュな狂人のごとく生きるか
それは自由な選択である
選択可能な時代でもある

人は人間として、人と人の間に生きる存在である
人は自分が他の人と違うように、みな違うものである
ゆえに人の間に生きるのは難しい

自分のこの10年を振り返ると、
人との関わりに少し疲れて
無意識に距離をとっていたように思えてきた

自分から人に働きかけないと
相手との関係は変わらない、動かない
自ら動いても無視されたり、裏切られたりもする
むなしく肩を落とす結果になってもいいから、
今年は「人たらし」に転向してみるか。



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世界観

年の瀬を迎えると、立身出世ドラマを通して
いろんな人のドラマに触れるチャンスが増える
その世界観は、いろいろである
元来世界観とは相対的なものである

学生時代、地方から出てきた人は
東京に憧れと期待を持っての”上京”であり
井の中の蛙を抜け出す好機である

留学や海外出張で海外の見聞を深めた人は
凡人よりも大きな世界観を持つ
と考えられる

地球を外から見た宇宙飛行士は
さぞかし人生観が変わったであろう
ようにマスコミに書かれる

その真逆に、小さな限られた場所に
全世界を見いだす人もいる
俳句、短歌、詩歌の世界はそのひとつ

世界各国を旅する人と
ひとつの場所にしか暮らしたことがない人
その時間は同じ
だから何を見ているかが肝心要となる

もし時間があれば
自分の足の小指をじっくり見ていただきたい
自分の意思で動かしてみて下さい
その小指を生まれてから今まで、何回見たでしょうか
その小指の存在を意識したでしょうか?
そして、その小指が何らかの理由で切り落とされた時
気になって気になってしょうがないくらい
恋しいものに思えるのかもしれない

ニューヨークのビジネス街やパリのエッフェル塔
それを見ていた自分の足には、その小指が一緒に
いたのだ。
遠くにあるモノはいいと思われ
身近なものは無視されがち


「何を見ているか」で、その人の時間の深さが決まる




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ふと出た言葉

12月第2週の週末は
最も日本人が買い物をする時だ
26年ぶりに百貨店の店頭に立った
同じ場所に何時間も立ち続けると
川のように流れる人の
それぞれの顔に目がとまるようになる

上から下まで地味な色を身にまとった老父婦
普段なら見過ごしてしまうであろう人達
いろんな事があったんだろうな
今目の前を仲良く寄り添って歩いている
無言で心の手をつないでいるかのように

幼な子をしっかり胸に抱きしめて歩く母子
楽しそうに売場を見ながら歩く顔には
この子が大好き、と言わんばかりの
幸せな笑み

迷子になりそうに走りまわる3人の子供
連れているのは、まだ若い頃の風貌をのぞかせる
しっかりもので、明るい笑顔の
おねえさん?おかあさん
楽しい接客で、お得意様がまた1組増えた

お隣の売場では、笑顔で接客する
20代、30代、40代、50代の販売員
それぞれの人には名前があり、人生がある
知人が訪れると、店員からひとりの人間にもどる
その人の素顔をのぞかせる瞬間だ

百貨店の部長さん
りりしいスーツ姿で、表情には厳しさがある
家族が社販で買い物にきたのであろうか
娘らが近づくと、ニコっとパパの顔にもどる
家族の大事な大黒柱だ

みんなそれぞれいろんなことがあるだろう
楽しいことも、つらいことも、迷うことも
そして同じ時代の、この場所ですれ違い
ふれあい、再び自分の場所へと帰ってゆく人々
そこには友人や家族がいる



という言葉がでてきた。
今まであまり使ったことがない
ちょっと恥ずかしい気がしていたから

結局は、愛なんじゃないかなと
思った。




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師走のある日に

今年も、もう師走だ
世界全体が不況に巻き込まれて1年が経った
いろいろな不安が巷に満ち溢れている
倒産や失業、インフルエンザも然り
多くの人が何らかの不安を感じつつ生活している

それでもクリスマス
赤や緑のキラキラ星の飾りつけを見ると
ひと時の楽しさを感じさせてくれる

そう、生きているということ
それは今日生きていて、今も呼吸しているということ
生きているからクリスマス
状況は例年よりかんばしくはないが
それでもこうしてクリスマスをむかえられる

今年も多くの人がこの世を去った
かれらは今年のクリスマスはむかえられなかった

生きていれば寒くもあり、温かくもある
生きていればつらくもあり、楽しくもある
生きていれば不安もあり、希望もまたある

こんな日は
友達を誘ってただ飲んで話しているのもいい
こんな日は
早く家に帰って家族と一緒にいるだけでいい

来年に希望を
そして生きている今に感謝


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home sweet home

学校が終わり、家に帰る
仕事が終わって、家に帰る
習い事が終われば、家に帰るし
大いに遊んだ後も、家に帰る

友人と飲みに行って2時間
話しが尽きればそのまま帰るし
もう少しなら2次会
歌いたければ3次会
そしてやることがなくなると、家に帰る

人は家に帰る
外にいるときは、何らかの目的があり、
やることがなくなれば、家に帰るのだ
家では何もしなくてもよい
友人といるとき、黙って1時間では辛い
公園でぼーっと3時間、飽きてくる
飲み会で無口、ひとり浮いてしまう
そう思うと、家族とは何もしなくていい
別に特別なことをしなくてもいいのだ
特別なことを作り出さなくていいのは、安心だ

家に帰る
家族とただ一緒にいる
一緒にいる安心
気づいているようで、忘れがちな。


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男と女

同じ人間でも
男と女は違う生きもの

男と、女
夢と、現実
将来と、今
ロマンと、リアリズム
会社のため社会のため、自分のため家族のため

部下や同僚と居酒屋で
これからの仕事のあり方について
語り合う
酔うにつれて
同じ話しで盛り上がる

主婦友達とファミレスで
子供や趣味の現状について
おしゃべりする
コーヒー1杯で
5時間盛り上がる


男と女は違う生きもの
同じ人間と考えると、その違いに戸惑う
何で分かってくれないんだ。
どうも理解できない。
結果として、
現実離れした男と
視野が小さい女ができあがってしまう。

男と女は違う生きもの
そう考えると、その違いを認めることができる
男は、未来のために自分を踏み台にできる
女は、今に生きることができる


男と女は違う生きもの


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その時

いつものように私は電車に乗っていた
車窓から見える川は、昨日の台風で
堤防まで溢れんばかりの水位である
と、その時である
電車が前に傾き始めた
えっ嘘、鉄橋が崩れた?
川面がだんだん近くなる
間違いない、あと数秒で電車はあの濁流の中だ!

急いでひとりひとり子供の名前を心のなかで呼ぶ
私の人生はここで終わることになっていたのか
脱出は可能か
いや、トライはするがおそらく無理だ
いよいよ私にも「その時」が来たのだ
心臓がばくばく動く
ああ、さっきまで家族と一緒にいたのに
この電車に乗らなければよかった

冷たい
水が足まで来た
死因は溺死になるのか
苦しいだろうな
いやだな
せいぜいあと2、3分だ
もう少し生きたかった
やり残したことは、ある
ああ、みんなに会いたい
神様、どうにかなりませんか
しかたがない
さようなら

・・・・・・・・・・・・



あれっ
ふーっ
戻ってきた?
夢だったのか
また、助かったよ

ふたたび今日という日を生きられるんだ
よかった
本当によかった
大切にしなければ
呼吸をしている
ありがたさ

今日もまた昇る朝陽
抱きしめたくなった。




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Child in us

レバレッジな生き方
レバレッジとは、lever(てこ)が原義のてこの作用で
ちいさな元本で大き稼ぐ
他人の資本で自己資本を高める
という意味の金融用語として主に使われている。
レバレッジな生き方は掛け算であり、
一攫千金、アメリカン・ドリーム的な感がある。

ローハスな生き方
Lifestyles Of Health And Sustainabilityの略で
健康と自然との共存をテーマにした暮らし方として
今から10年ほど前に作られた言葉である。
ローハスな生き方は足し算であり、
どこか牧歌、農耕的な感がある。

両極に相対するような二つの言葉である
両方ともアメリカ発のコンセプトである
皮肉なことに、ローハスもいかにビジネス化するかという
狩猟型ビジネスアプローチの注目の的になり
ビジネス用語として普及した。
そして現在では、あまりおいしい餌がないと思われ
一時休止しているような状況である。

レバレッジな生き方は掛け算で大きく得られるが
失う場合は一気にすべてを失うリスクもある。
ローハスな生き方は足し算で積み上げるが
失敗したらその分の引き算となる。

私見です。
ハーバードビジネススクールがレバレッジなら、
母校早稲田はローハス。
大リーガーがレバレッジなら、
柔道家はローハス。
多くの公認会計士がレバレッジなら、
税理士はローハス。
テレビに出てくる新鋭経営者がレバレッジなら、
創立50年の経営者はローハス。


レバレッジとローハス
何となく私にはしっくり来ない。

三島由紀夫「鹿鳴館」の一節から
清原
「私の中にはこの歳になっても、
一人のどうにもならない子供が住んでいるのです」
朝子
「その子供を大切になさらなければいけませんわ。
女が愛するものも、民衆が愛するものも、
猛々しい立派な殿方の中の
その汚れのない子供なんですわ」

ウォルト・ディズニーの名言より
I make them for the child in all of us, whether we be six or sixty.
Call the child "innocence."
by Walt Disney
(私は6歳であれ60歳であれ、我々の中にある子供のために映画を作る
汚れなき純粋な子供)

Child in us
どうにもならない子供
汚れのない子供
子供心に導かれる冒険
そんな生き方があってもいい。



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